環境学研究所、持続可能性、持続可能な発展、サステイナビリティーの研究・教育、藤平和俊

持続可能な発展のための基本制御系

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「制御」の科学を応用して課題に取り組むには、制御にかかわる要素の関係を表す制御系を示すことが必要です。そこで本研究所では、まず、「持続可能な発展のための基本制御系」を提示しました。

持続可能な発展のための基本制御系(図1)において、「制御対象」は制御すべき人間活動です。「外乱」とは、制御対象に作用して悪影響を及ぼす因子のことです。環境・社会・経済問題に起因する外乱の例としては、環境汚染による悪影響、環境破壊による洪水や地滑り、地球温暖化・気候変動に由来するさまざまな悪影響が挙げられます。さらに図1には、「外乱」から「持続可能な発展」へと向かう道筋として、「適応」が加えられました。その背景には、近年、地球温暖化・気候変動の深刻化とともに、その悪影響を予測して被害を回避または最小化する適応策の重要性が高まっていることがあります。「制御変数」は、制御対象となる人間活動に関係して、基本的には問題の解決・予防のために、あるいは外乱への適応のために、制御すべき変数のことです。

「目標値」は、制御目的である「持続可能な発展」から導きます。図2に、「持続可能な発展のモデル」を示します。このモデル図は、有限の地球環境・天然資源という絶対的制約下で、全人類の長期的な幸福という究極目的を達成するために、「基盤安定と内部安定を両立させること」が必要なことを示しています。ここで「基盤安定」とは、人間の生存環境の安定および必要物資の安定供給であり、そのための条件は「環境保全と天然資源の持続的利用」です。一方、「内部安定」とは、社会的・経済的安定のことであり、その条件は、「健康・安全・相互扶助・自己実現のような人間の幸福の基礎条件を満たすこと」となります。

制御目標は、注目する制御変数を目標値に一致させることとなります。なお、図1に示す制御系の課題は、「制御方策」すなわち制御目標を達成するための方策を計画・実行することとなります。

 

関連著書

Sustainable Home Design by Applying Control Science

著者:藤平和俊 / 出版社:InTech / 2017年12月刊行

第3章 Basic Schemes: Preparations for Applying Control Science to Sustainable Design

 

 

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